和雑貨 [TOKUSA -JAPANESE WORKS-]

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和雑貨 [TOKUSA -JAPANESE WORKS-]

COLUMN

Vol.2 【日本の装飾具】


今でこそ誰しもが自由に付けている装飾品の類は、古来日本においてどのような意味合いを持って付けられていたのでしょうか。時代によって感じ方の変化はあったと思われますが、その一つに自他を含めた認識という意味合いが共通してあったと考えられます。それは数を記憶するために糸に結び目を付けて保存、伝達していたように、自分というもののオリジナルティ、または何らかの記憶を強く認識させ忘れないようにとの、ある種の記念物として自らに付けたものが腕輪等の起源かと推測することができます。

 

日本でも考古的資料を調べてみますと、縄紋時代に貝や土器、骨や石等で作られた腕輪を使用していたことが解っており、遺物が見つかっていない縄紋時代以前にも、三内丸山遺蹟から見つかった植物の蔓で編んだ腕輪と思われる物のような、比較的簡単に加工できる物で何らかの装飾具を身につけていたかもしれません。

 

しかし時代が下り弥生時代に移行してくると、装飾具は自己のオリジナルティを飛び越へ、持つ者の社会への権力の誇示といった意味合いが強くなっていきます。それは遺跡から出土した墓を見ても、沢山の貝でてきた腕輪をした者が丁寧に埋葬されていることから、装飾具が特別な人物を権威付ける為に付けられていたことは確かだったようです。

 

そうした価値観を継承しつつ半島や大陸との交流が盛んになってくると、装飾具は銅や玉、金やガラス等からも作られるようになり、古墳時代をその最盛期として発展していきますが、腕輪や指輪等の装飾具は、日本が国として安定し政策が進んでいくにつれ、身分に合わせた服装が制定されるようになると、祭りや儀礼といった特別な機会の使用でしかなくなってしまいます。

 

更に時代が移り武家が文化を担っていくようになると、武家の象徴ともいえる刀や鎧といったものの装飾性が華美を帯びる形で発展していきますが、実用を要する武家達においては次第に装飾性自体が簡素なものへと移り変わり、生活面では「わび」や「さび」といった、禅的要素を併せ持った風潮が好まれるようなっていきます。そして徳川時代になると、桃山時代からの派手な装飾性は度重なる火災と財政悪化の為に次第に薄れていき、華美に飾り立てることを取り締まられるという時代さえありました。

 

以上のように日本に於いての装飾具は、その文化の方向性から装飾品を身につけるということ自体永らく廃れていました。ですが、装飾品自体は決して忘れ去られていたわけではないのです。それは寺院に安置されている仏像や神代のことを想像した絵画等には、華麗な装飾品が所々に付けられていることを見ることができるからです。

 

つまり日本の装飾品は、弥生時代からの思想の為か、特別な者が付けるものから神仏が付ける特別なものとして考えられ、「十種之神宝」のように装飾品自体が祈りの対象になるということもありました。それは仏教の数珠が代表するような、祈りの為の器具という神秘性から、平素は離れて接するといった神道的な考えによる影響だとも考えることができます。

 

TOKUSAではこの度、第二段目の商品として「小輪」と「大輪」を制作いたしました。以上のような経緯から装飾品としての活用以外に、付けたときの記憶をより深めるものとし、新たな時代に向かう意識を高めるといった本来の装飾品の意義も考慮に入れて使用して頂ければ、自らの志をより強くすることができることでしょう。


2005/9/8
太夫 廣木健太郎
hiroki@tokusa.net



参考文献

ROGER LEWIN著 渡辺毅訳『現生人類の起源』東京化学同人 (1999)
水野清一『中国文明の歴史@』中公文庫(2001)
大塚和義『アイヌ 海辺と水辺の民』新宿書房(1995)
石井進監修 坂井秀弥編集『復原 技術と暮らしの日本史』新人物往来社(1998)
別冊歴史読本『検証 古代日本幻の王国』新人物往来社(2001)
西東社出版部編集『日本の古墳・古代遺跡』西東社(1999)
別冊歴史読本『日本「神道」総覧』新人物往来社(1995)
アサヒグラフ別冊『戦後50年 古代史発掘総まくり』朝日新聞社(1996)
田中日佐夫『日本の美術』東京美術(1999)
関根俊一監修『仏尊の事典』学習研究社(1997)
茂木栄 薗田稔監修『日本の神々の事典』学習研究社(1997)
石村貞吉『有職故実研究 上下 附本文索引』有職故実研究刊行会(1957)
高階秀爾監修『西洋美術史』美術出版社(1994)
森本哲郎『黄金帝国の謎』文春文庫(1986)
吉村作治監修『ドイツ・ヒルデスハイム博物館所蔵 古代エジプト展-永遠の美-』古代エジプト展事務局(2002)
田辺勝美監修『大英博物館 アッシリア大文明展-芸術と帝国』朝日新聞社文化企画局東京企画部(1996)
東京国立博物館 朝日新聞社編集『中国国宝展』朝日新聞社(2000)

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